設計資料
日本ヒーターは抵抗加熱による工業用、産業用電気ヒーターを製造しています。
過去の話題から:相談役小柴恭男
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電気ヒーター発注のポイント
ヒーターの選定や発注のヒント
電熱設備投資資材担当者、設計者のみなさんへ。
ヒーターメーカーとしての幸せ
日本ヒーターのように他品種少量生産の場合、新規受注では初めて作る仕様のヒーターが多い。
規格品ではないので発熱部の長さにしても非発熱部の明示がないと、当社の標準仕様で作ってしまう。
気を利かせたつもりが善意の行き違いとなることもある。
200Vの電圧がヒーターの常識とばかり作ったら、440V用だったりするともう手の打ちようがない。
口頭で「言った」「言わない」と争っても仕様は満足されない。そんな経験をもとに当社ではFAX活用でお客様とのやりとりを記録に残すことを推奨している。
この道一筋80年。たくさんのお客様からご注文をいただき、電気ヒーターを受注生産してきた。
ご迷惑をかけたり、喜ばれたりしたことを踏まえ、大変ローテクで基本的なことで心苦しいが、その一端を披露して、ヒーターおよび関連する生産財の設計者や発注者の参考に資すれば幸いである。
事前の打ち合わせでは難しい仕様のヒーターを、膝を交えて検討し尚かつ短納期で受注、納品後予定通り生産設備が稼働され、「おかげさまで間に合った」「うまく動いているよ」と言われるのがヒーターメーカーとして一番の幸せである。
同じ土俵で・・・仕様の確認
- 電気製品は、入力電圧で容量が変わる。電源電圧が200Vか220Vかによって、ヒーターの電力は20%以上異なることが意外とわかっていない。
- また、ヒーターの電力密度(ワット密度)により、太さ・長さ・本数・ケーシングの大きさが変わってくるので、これらも同一条件で別途見積りをとるべきである。
- 電力密度(ワット密度)によって寿命が大幅に変わることも意識して欲しいものである。
熱を出すのも出さないのも大切
- 電熱装置には、ヒーターが入っているのだから熱くなるのは当たり前だが、端子部やケーシングに熱が出るのは困りものである。
- 危険な上に熱損失も大きいわけである。夏場には強力な熱源となり、冷房の必要な雰囲気では効率が悪すぎる。
- 十分な断熱と不要な箇所に出た熱を効率よく排出するための工夫が必要である。端子部は、ヒーターの上部にはならないように設置されたい。
二重絶縁のすすめ
- 何らかの事情でヒーターの絶縁が低下した場合、電気的に二重絶縁構造にしておくと安全性が高い。
- 特に高温度・高湿度・高塵埃になるヒーターに推奨したい。
- 高度精密電子機器等の製造現場で漏えい電流の影響を極端に嫌う場所では、リーケージディテクターが頻繁に作動してしまうので、この場合は二重絶縁構造は必須である。
図-1 丸ブッシングを用いた電気的二重絶縁構造(取り付け例)
部品番号: 名 称
1:ヒーターエレメント
2:取付板(ケーシング)
3:ブッシング(丸ブッシング)
4:外パッキン
5:内パッキン
6:ブッシング用ワッシャ
7:ブッシング用ロックナット
8:絶縁材
9:ナット
10:ワッシャ
11:スプリングワッシャ
12:ヒーター電源端子
工業用電熱機器の受発注 ~その1~
空焼き(もしくは空焚き)
- ヒーターの空焼きとは、例えば次の状態でヒーターに通電し続けることを言う。
- 空焼きは、ヒーター破損の上に火災の心配がある。
- ヒーターが大容量の場合など、いくら温度調節器機能付きと言っても、サーモスタットだけの動作では心配である。
- ヒーター電源が切れてもしばらくは流体が必要である。ヒーター自体に熱容量があるのでヒーターを冷ます必要があるからである。
- このような場合、インターロックやタイムディレイ(下記参照)を考慮することも必要である。
- また、二重安全装置として、温度過昇防止用の安全装置を取り付けておくとよい。
・気体加熱の場合:熱風発生器の風が止まる
・液体加熱の場合:油直接加熱ヒーターの油がなくなる
・金属加熱の場合:ヒーターと金属(被加熱物)との間に空気層(間隙)が多い
○インターロック
空気加熱例えば熱風発生器では、ファンに通電しないとヒーターにも通電しない。また、液体加熱では、液面があるレベル以下ではヒーターに通電しない回路を組んで、過熱を防止する。
○タイムディレイ
熱風発生器では、ヒーターOFF後、タイマーなどを用いて一定時間は通風を続け、ヒーターを冷ましてから本体の電源を自動的に切る回路を組んで過熱を防止する。
SIMPLE IS BEST
熱風発生器では、ヒーターOFF後、タイマーなどを用いて一定時間は通風を続け、ヒーターを冷ましてから本体の電源を自動的に切る回路を組んで過熱を防止する。
- 生産財は、趣味や好みで製作するものではない。変わったデザインだったり見た目できれいだと、何か良いような錯覚にとらわれる。
- 空気加熱や金属加熱で高温になるヒーターの場合、必要もないのに発熱体をピカピカに磨いたり、メッキしたりするのはナンセンスである。
通電直後に変色してしまうから、何の意味もないのである。