許容ワット密度とはなんですか
ヒーターの構造、材質から上限とされるワット密度と考えられますが、それ以外に加熱する物質(被加熱物)により、加熱すると相変化や化学変化を起こす場合があります。
粘性や汚れの着きやすさ、引火性なども考慮し、ヒーター表面温度をある値以上にしないようなワット密度を許容ワット密度として規定しています。
- ワット密度は電力密度とも言われ、単位表面積あたりの電力[W]で表される表面負荷の度合い(熱流束)です。
- ワット密度が大きくなれば、ヒーターは表面温度が高くなりヒーターの寿命が短くなります。
- 被加熱物の伝導・対流による熱交換の効率が高ければワット密度は高くとることができますが、粘性が強く汚れが着きやすい場合、あるいは加熱によって変質・分解・溶解が起こる場合はワット密度を低く設定します。
- このように被加熱物や用途に合わせたワット密度の上限値を許容ワット密度といいます。用途によって数値に幅がありますが、おおまかにまとめたものが次の表です。
- 実際の使用においては、被加熱物の流速や他の条件にも影響されますので参考値としてください
液体加熱における許容ワット密度
液体加熱におけるヒーターの許容ワット密度[W/cm2]
被加熱物の種類 | 加熱温度 | 推奨ワット密度 | 許容ワット密度 |
---|---|---|---|
水道水 | 100 | 5.0 | 9.0 |
純水 | 80 | 5.0 | 6.0 |
アルカリ溶液 | 100 | 2.5 | 4.0 |
酸溶液 | 80 | 2.5 | 4.0 |
アンモニア溶液 | 30 | 3.0 | 4.0 |
メッキ溶液 | 80 | 3.5 | 4.5 |
C重油 | 80 | 2.5 | 3.0 |
機械油 | 100 | 3.0 | 3.5 |
鉱物油 | 200 | 3.0 | 4.0 |
トリクレン | 86.9 | 3.0 | 4.0 |
エタノール | 74.1 | 3.0 | 4.5 |
糖液 | 70 | 1.0 | 1.5 |
海水 | 60 | 2.0 | 3.0 |
タービン油 | 40 | 1.5 | 2.5 |
熱媒油 | 250 | 2.0 | 2.5 |
植物油 | 200 | 2.5 | 3.5 |
注記
- 液体加熱の場合、推奨ワット密度であっても液体の性質を変えることもあります。
気体加熱における許容ワット密度
気体加熱におけるヒーターの許容ワット密度[W/cm2]
被加熱物の種類 | 加熱温度 | 推奨ワット密度 | 許容ワット密度 |
---|---|---|---|
空気 | 100 | 2.5 | 3.0 |
空気 | 200 | 2.0 | 2.5 |
空気 | 300 | 1.5 | 2.0 |
空気 | 400 | 1.0 | 1.5 |
空気 | 500 | 0.5 | 1.0 |
窒素ガス | 200 | 2.0 | 2.5 |
窒素ガス | 300 | 1.5 | 2.0 |
窒素ガス | 400 | 1.0 | 1.5 |
オゾン | 400 | 0.5 | 1.5 |
注記
- 気体加熱の場合、流速によってはワット密度を変更する必要があることもあります。
- 表以外の気体についても加熱の実績がありますので、日本ヒーター技術部へお問い合わせください。
金属加熱における許容ワット密度
金属加熱における
ヒーターの許容ワット密度[W/cm2]
被加熱物の種類 | 加熱温度 | 推奨ワット密度 | 許容ワット密度 |
---|---|---|---|
熱板:F・I | 100 | 9.0 | 10 |
熱板:F・I | 200 | 8.5 | 10 |
熱板:F・I | 300 | 7.0 | 10 |
熱板:F・I | 400 | 6.5 | 9.0 |
熱板:F・I | 500 | 5.5 | 8.0 |
配管・熱板:S・V | 200 | 3.0 | 4.0 |
配管・熱板:S・V | 300 | 2.5 | 3.0 |
配管:R | 300 | 2.0 | 3.0 |
注記
- 熱板F・Iは、熱板用のカートリッジヒーターのワット密度
- Sはスペースヒーター
- Vはバンドヒーター
- 配管:Rはマイクロヒーター